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HOME> 過払金の利息に関する民法704条の悪意についての裁判例

過払金の利息に関する民法704条の悪意についての裁判例

5 過払金の利息に関する民法704条の悪意についての裁判例


過払金には,払いすぎた時点から年5%の利息が付くと一般的に考えられています。 ほとんどの貸金業者は,グレーゾーン金利部分が無効であり,みなし弁済も成立しないことを知っていながら借主からグレーゾーン金利部分の利息を収受しているため,悪意の受益者(民法704条)に該当し,過払金を受け取った日から年5%の利息を付けて返還をする義務があるといえるからです。 貸金業者は,悪意の受益者には該当しないとして,過払金の利息の返還を拒みますが,ほとんどの裁判例において,貸金業者に過払金の利息の返還義務を認めています。


●最高裁判所第2小法廷平成19年7月31日判決(民集61巻5号1980頁)

【問題となった争点】

制限超過利息を収受していた貸金業者について,みなし弁済の規定の適用が認められない場合に,当該貸金業者は民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるか。


【判決の要旨】

貸金業法43条1項の適用がない場合には,貸金業者は,「制限超過部分は,貸付金の残元本があればこれに充当され,残元本が完済になった後の過払金は不当利得として借主に返還すべきものであることを十分に認識しているものというべきである。そうすると,貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の『悪意の受益者』であると推定されるものというべきである。」


【解説】

本判決は,みなし弁済が成立しない場合について,貸金業者が,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,貸金業者は「悪意の受益者」であることが事実上推定されるとの法理を明らかにしたものです。

特段の事情の主張・立証は,単にみなし弁済が成立していると信じていたと抽象的に主張するだけでは足りず,18条書面等を提出して具体的に主張する必要があるため,ほとんどの貸金業者が特段の事情の立証ができず,悪意と認定されているのが現状です。


【ポイント】

貸金業者は,取引にみなし弁済が適用されると認識し,認識したことについてやむを得ないといえる特段の事情が立証できない限り,悪意の受益者と推定され,過払利息の支払義務を負う。


●最高裁判所第2小法廷平成21年7月10日判決・最高裁判所第2小法廷平成21年7月14日判決(判タ1317号117頁)

【問題となった争点】

期限の利益喪失特約の下での制限超過利息の支払の任意性を否定した最高裁判所第2小法廷平成18年1月13日判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が期限の利益喪失特約の下でこれを受領したことのみを理由として,当該貸金業者を「悪意の受益者」と推定できるか。


【判決の要旨】

「平成18年判決が言い渡されるまでは,平成18年判決が示した期限の利益喪失特約の下での制限超過部分の支払(以下「期限の利益喪失特約下の支払」という。)は原則として貸金業法43条1項にいう『債務者が利息として任意に支払った』ものということはできないとの見解を採用した最高裁判所の判例はなく,下級審の裁判例や学説においては,このような見解を採用するものは少数であり,大多数が,期限の利益喪失特約下の支払というだけではその支払の任意性を否定することはできないとの見解に立って,同項の規定の適用要件の解釈を行っていたことは,公知の事実である。」

「そうすると,上記事情の下では,平成18年判決が言い渡されるまでは,貸金業者において,期限の利益喪失特約下の支払であることから直ちに同項の適用が否定されるものではないとの認識を有していたとしてもやむを得ないというべきであり,貸金業者が上記認識を有していたことについては,平成19年判決の判示する特段の事情があると認めるのが相当である。したがって,平成18年判決の言渡し日以前の期限の利益喪失特約下の支払については,これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできない。」 本件については,「制限超過部分の支払について,それ以外の同項の適用要件の充足の有無,充足しない適用要件がある場合は,その適用要件との関係で上告人(※注:貸金業者)が悪意の受益者であると推定されるか否か等について検討しなければ,上告人が悪意の受益者であるか否かの判断ができないものというべきである。」


【解説】

本判決は,期限の利益喪失特約の存在のみを理由として,貸金業者の悪意を推定することはできないとしたものです。 本判決により,貸金業者が期限の利益喪失特約以外の,すべてのみなし弁済の要件を備えている場合には,貸金業者の悪意の受益者との推定を覆す「特段の事情」が認められることなり,貸金業者が期限の利益喪失特約以外の全てのみなし弁済の要件を備えていたことを立証して初めて,貸金業者の悪意が認められることになります。


【ポイント】

貸金業者は,期限の利益喪失特約以外の全てのみなし弁済の要件を備えている場合には,特段の事情が認められ,善意として,過払利息の支払義務を負わない。